新卒事業本部 インフローソリューションディビジョン マネジャー・丸山崇充氏に聞く
適性検査を提供する社会的責任のもとに事業を展開
古くから業界をリードする、草分け的存在
募集から選考へと続く企業の人材採用業務において、主力商品である「総合検査SPI 2シリーズ」を中心に、一貫性を持ったサービスを提供することで、求人側と求職側との間に生じている志向や適性面でのミスマッチを解消し、企業の採用活動の成功により一層貢献していきます。
舛田 博之(ますだ ひろゆき)
1989年4月:株式会社リクルート入社、人事測定研究所配属。2006年10月~:組織行動研究所、主任研究員(現在に至る)。日本テスト学会理事(2005年8月~)、および日本テスト学会テスト規準作成委員会メンバー。近年の主著に、『eテスティング』9章「人事測定とeテスティング」(培風館共著、2009年)『産業・組織心理学ハンドブック』Ⅰ-4「採用の方法」(丸善共著、2009年)がある。近年の主な研究発表には、【経営行動科学学会】第10回年次大会(2007)「組織要因が非正規従業員の初期段階の定着に及ぼす影響」などがあり、多数の学会活動、研究活動を行っている。
丸山 崇充(まるやま たかみつ)
1999年4月 株式会社 人事測定研究所入社。
2010年4月 インフローソリューション事業部 事業企画部マネジャー(現在に至る)。
個人と企業を結び付けるための適性検査。日本の組織の在り方に合わせて開発
---まずはじめに、適性検査事業を始めたきっかけを教えてください。
舛田:適性検査、人事アセスメントの事業が始まったのは1963年で株式会社リクルートの2番目の事業です。1960年にリクルートが、就職情報誌『リクルートブック』の前身である『企業への招待』を発行するようになったのがきっかけでした。それ以前はその存在自体が認知されていなかったり、求人があるかどうかがわからなかったりした企業にも学生が応募するようになり、一気に応募者数が増加したのです。すると、「どういう人材が自社に合っているのか」を判断するための材料が求められるようになりました。そこで、リクルート創業者である江副氏が学歴や学業成績の情報からだけでなく、“個人と組織を結びつけるにはどうすればよいか”を考え、当時、アメリカで心理テストが採用選考の場面で利用されていたのを参考に、テスト事業を始めることになったのです。
---創業当時のテスト事業と現在の適性検査の在り方に、何か違いはありますか。
舛田:当時から当社ではテストをオリジナル開発していましたが、どちらかといえば「仕事をうまくやっていけるか」「早くできるようになるか」といった“機能的な面”を重視したものでした。というのも、そもそもアメリカの適性検査を参考にしていましたから、アメリカ的な考え方――仕事があって人がある――が色濃く出ていたからです。
しかしその後、テスト事業者として、企業(ユーザー)の「優秀な人材を採用したい」という視点だけでなく、「一人ひとりが持っている個性を、いかに組織の中で活かしていけるのか」「面接ではなかなかわからない人物特性を、いかに科学に基づいた客観的な表現の仕方で表すか」という視点から、再度事業を見つめ直します。そして、人の人生を左右しかねない事業の特殊性や社会に対する影響を踏まえ、我々自身が改めて襟を正すために企業理念や事業の在り方を明文化した、「人事テスト事業憲章」を策定したのです。測定精度、測りたいものを確かに測る、という適性検査が当然持つべき品質を最も重要視する姿勢は、創業当時から今も変わっていません。それは、この事業に関わる者としての社会的責任と考えています。
舛田:そうして1974年、この理念を基に「SPI」が誕生しました。それまでに提供していた能力テスト、性格テストを統合した総合検査で、人物特性を総合的に、精度高く測定できるということで多くの企業に導入されました。アメリカとは異なり、日本における“人と組織のつながり方”は人本位、人中心、いわば――人があって、組織がある――という関係にあります。そのため、能力、性格、意欲、行動などを総合的に見られる「SPI」は、日本の組織の在り方に合っていたのでしょう。
その後、「SPI」は2002年に改良され、「SPI2」としてリリースされました。実施時間を短縮しながら測定精度をより上げると共に、従来の“深い人物理解ができる機能”に加え、人事担当者が“より使いやすいように”したものです。例えば、この検査はいくつかの異なる側面から見ていますが、結果のコメントを統合し人物特性をまとめた形で提示することが可能になりました。
企業の利便性と学生への公平・公正性を考え、 4種類の提供形態を開発
---御社では適性検査の提供形態を4種類――テストセンター・インハウスCBT・Webテスティング・ペーパーテスティングで展開しています。
丸山:適性検査は紙で行うマークシート方式が主流でしたが、当社では1980年代からコンピュータを使ったテストの研究を行っており、グループ会社内などで実験的に使用し、改良を重ねてきました。そして2004年に、当社が全国主要都市にて運営する専用会場で検査を行う「テストセンター」、顧客の社内に設置したパソコンで実施する「インハウスCBT」、応募者が、自宅などのインターネット環境を利用して受検する「Webテスティング」の提供を開始。IRT(項目反応理論)を応用し、短時間でも精度の高い測定を可能にしました。更に「テストセンター」方式ではしっかりと受検者の本人認証を行う仕組みを導入。そうして、企業と応募者双方の時間・労力を抑えながら、受検者の公正・公平な応募機会を広げることができました。私たちは、毎年のデータ検証に基づく品質管理とともに、現在も継続して精度の高いコンピュータテスティングの技術を磨き続けています。
---最後に、適性検査を導入する人事担当者にメッセージをお願いいたします。
丸山:採用における採否の決定は企業の将来だけでなく応募者の人生にとっても重要な決定となります。そのような場面で用いられる適性検査ですから、良い検査かどうかを判断することは簡単ではありませんが、きちんと品質を確認したうえで選んでいただきたいと思っています。
舛田:そして、適性検査の位置づけ、価値や限界を改めてご理解いただいた上で利用していただきたいと思います。そもそも、適性検査とは、その人がどのような人で、自社に合うかどうかがすぐには分からないため、できるだけその人のことを知りたいという発想から生まれたものです。より深い人物理解のための手掛かりであり、それだけで人物の良し悪しを決めつけられるものではありません。
対象となっているのは生身の人間であり、最終的に採否を決定するのは面接者・経営者であることを忘れないで欲しいと思います。
---適性検査の本来の意味、そして社会的責任を重視して適性検査を研究・開発するという御社の信念を伺うことができました。本日はありがとうございました。
企業データ
社名 | 株式会社 リクルートキャリア |
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本社所在地 | 〒100-6623 東京都千代田区丸の内1-9-2 グラントウキョウサウスタワー |
事業内容 | 社員募集領域における人材採用広告事業/斡旋事業/選考支援事業 [厚生労働大臣許可番号 13-ユ-010258] |
設立 | 1977年11月28日(商号変更2012年10月1日) |
代表者名 | 代表取締役社長 水谷 智之 |