組織人材研究所主席研究員・鎌形みや子氏に聞く
精度にこだわった開発と徹底したフォロー体制
個人の持ち味をさまざまな角度から測る総合適性検査を提供
1949年に社団法人日本事務能率協会(1971年日本経営協会に改称)として創設後、同団体の事業再編成に伴い、人事測定事業、出版事業、手帳事業を統合し、1989年に設立したのが同社である。適性検査の研究開発・サービス提供の歴史は古く、1979年、社団法人日本経営協会時代に能力開発準備室を設置したのが始まりだ。1985年には人事テスト開発研究委員会(後の人事測定・評価開発研究委員会)を発足。また、同社内にはアセスメントや調査診断分野の信頼性確保と研究開発を担う、組織人材研究所を設置している。提供するサービスは、同社の主力商品となる「総合適性検査SCOA(スコア)」をはじめとした各種適性検査、論・作文試験審査、面接官向け教育ビデオの制作販売など幅広く、SCOAを含めた適性検査の導入社数は約5000社に上る。
心理学的委員会の設置、適性検査の活用説明会の開催
---貴社の適性検査事業についてお聞かせください。
大崎:本格的に人事測定事業を始めて25年になります。おかげさまで「総合適性検査SCOA」をはじめ各種適性検査や論・作文審査、昇進昇格試験、面接支援などがお客様や市場の支持を得て着実に成長し、これら商品のご利用顧客は約5,000社を数えるに至りました。
人事測定事業の発足当初から「人事測定・評価開発研究委員会」を設置し、その監修を受けて開発した商品は、すべて当社オリジナルです。その年々の社会や経営環境の変化によって、採用場面においてのお客様からのニーズは多々生じますので、既存の商品をご要望に応じた商品に改良したり、新たな測定指標を設けて対応したりしています。また、当社のクライアントアドバイザーとカスタマーセンターがお客様からのご相談にタイムリーに応じられるようなフォロー体制を敷いています。当社の適性検査のご利用によって、お客様の成長・発展につながることを願っています。
---近年、人事採用担当が抱えている課題は何でしょうか。
大崎:ここ数年のお客様の主な課題としては、「自社で活躍する人材像の確立」と「入社後の定着」が多いですね。かつて設定した人材像が今の社風に合わなくなったり、もともと人材像がないまま採用選考していたなどです。また入社後何らかの理由による退職は、人事担当者の大きな悩みですね。このような悩み事の解決策のご提案として、当社適性検査の活用説明会や採用面接に関するセミナーなどを開催。適性検査の受検結果をもとに、心理学を活かして「求める人材像」を明確化する方法や、面接時の評定項目と質問項目の作成、組織風土とパーソナリティとのマッチングなど、面接での活用方法・配置配属の仕方・受検結果の分析データの活用方法などをご案内しています。この他にも、人事採用ご担当者が抱えるいろいろな悩み事のご相談に対応できる体制を整え、お客様の組織と個人がともに成長進化し続けられるようご支援しています。
「知・情・意」の側面から総合的に測定できる適性検査を開発
---貴社の適性検査とはどのようなものですか。
鎌形:人を知る枠組みとして、「知・情・意」の側面から全体的に理解することが重要です。その人の適性として知的レベルは、大事な要素ではありますが、能力が高くてもコミュニケーション力ややる気がない人もいます。意欲が高くても一人で抱えていては成果があがらないでしょう。人はそれぞれ異なった特徴をもっています。成果を上げるためには、知・情・意を総合して持ち味を発揮することと、仕事の特性や職場風土などとの相性、マッチングが大事だと思います。
当社が扱う適性検査は、個人をいろいろな角度から分析してその人の持ち味を測るものです。適性検査にはいろいろな種類がありますが、総合適性検査は性格特徴や意欲・態度、そして実社会における実務的能力まで、総合的に分析します。
採用選考では、短時間で情報を得ることが要求されますが、総合適性検査は、大きくいうと4つの点でメリットがあります。1つは、知能面、情緒的な面、意欲的な面と全体的かつ総合的に特徴を要約して把握することができます。2つめは、全国レベルのデータにもとづいて基準が設定されていますので、多くの人との比較で判断することができます。3つめは、質問項目が精度の高いもので構成されており、より短時間に的確な情報を得ることができます。4つめは、すべての受検者が同じ条件で質問され、また、結果にコメントがあることで、実施も判断も客観的で公平に行うことができます。
細かく申し上げるといろいろありますが、面接や論文など一緒に活用することにより、なるべく多くの情報と必要な要件を押さえたアセスメントと、自社特性の分析をもとにした人材マッチングがよい採用選考につながると思います。
---研究開発面で力を入れていることを教えてください。
鎌形:当社は適性検査の開発当初、心理学の研究と多くのデータ分析をもとに商品化しました。以来25年、様々な企業や団体のお客様にご活用いただきながら、ご要望を伺い、工夫が加えられています。研究開発では常に精度にこだわってきました。信頼性、妥当性、弁別性などとも言われますが、例えば「質問項目が適切か」「あいまいではなく正しく理解される質問か」「難易度は?」などの観点から行う質問項目の質的分析、標準化するデータの設定や分析など尺度の精度、多くのデータをもとにした、年齢や学歴などの受検者属性の違いによる分析や特定群との比較、毎年集計されるデータの経年比較や企業別特徴などの分析、結果の内容をどのように表現するか、などいかに精度の高い検査を提供できるかという点が開発のこだわりともいえるところかと思います。 そして正しく理解してご活用いただくために、毎年、その年のいろいろな回答傾向を報告書にまとめてご利用されているお客様にお知らせしています。
当社はよく地味でコツコツ、融通はきかないほうだと言われたりしますが、誤った情報を提示しないよう、細心の注意を払っているので、迅速に動けないところはあります。冒頭の大崎の言葉にもあった「人事測定・評価開発研究委員会」は5名の大学の心理学教授により編成され、開発当初から研究や監査役として設置されており、心理学的観点から正しい情報をお伝えするよう努めています。このような環境でこだわりをもって開発していることも特徴といえるかもしれませんね。
---しっかりした理念の下、適性検査の開発・提供を丁寧かつ真摯な姿勢で行っていることがよくわかりました。ありがとうございました。
企業データ
社名 | 株式会社日本経営協会総合研究所 |
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本社所在地 | 〒163-0726 東京都新宿区西新宿2-7-1 小田急第一生命ビル26階 |
事業内容 |
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設立 | 1989年 |
代表者名 | 代表取締役社長 飯田義範 |