自社基準で活躍可能性を高精度に数値化!
科学的な採用を実現するアセスメントツール「MARCO POLO」
採用時に適性検査を実施する企業は数多くありますが、そのほとんどは母集団を絞り込むために利用しているのではないでしょうか。適性検査が選抜において「参考程度」にしか使われてこなかった最大の理由は、一人ひとりの特性は測定できても自社の職務や組織風土とマッチングするかどうかを測る機能がなかったから……そう訴えるのは、株式会社レイルの代表取締役社長・須古勝志さんです。同社が開発・提供し、適性検査としては画期的な「人と職のマッチング機能」を備えるアセスメントツール「MARCOPOLO(以下マルコポーロ)」の開発背景や機能と特色、さらには効果的な活用方法などについて、須古さんにうかがいました。
(すこ かつし)テスト理論、テスト開発、心理統計学、CBT(Computer Based Testing)や e-Learningシステム開発、各種検定試験の設計に精通。また、人事系組織分析コンサル等の経験も豊富。 人と組織の「適合度」を確かな制度で数値化するアセスメントツール「MARCO POLO」設計者。
採用時点で将来の「活躍可能性」を正しく見きわめる
――アセスメントツール「マルコポーロ」を開発されたきっかけをお聞かせください。
私たちはもともと、コンピュータを使って人財のICTスキルを測定するテストを提供していました。サービスを通じてICTのテクノロジーやテスト理論などを磨いてきたのですが、「知識やスキルが優れている人が採用後に必ずしも活躍するとは限らない」という事実にぶつかりました。調べてみると、入社後の活躍度合いを左右するのは、知識・スキルよりも一人ひとりの行動の土台となる「深層(内面)」であることがわかってきました。特に重要なのは、その内面が仕事の性質や組織風土とマッチしているかどうか、ということです。しかし当時は、それを正確に測定してマッチングできるアセスメントツールが存在しませんでした。
従来型の適性検査は、全国の社会人や学生の平均的なサンプルに対して、個人の特性、たとえばストレス耐性が高いか低いかを判定するような仕組みです。その場合、企業側は、一定の「しきい値」を設定して、「この点数以下は不採用」といった使い方をするしかありません。しかし、ストレス耐性は高い方が良いというのは一般的な感覚でしかなく、科学的根拠はありません。むしろ、営業職などでもストレス耐性の低い人財の方が顧客の要望をきめ細かく察知でき、活躍しているケースが多々あります。重要なのは、自社の仕事に最適なストレス耐性の「幅」はどのあたりかを割り出して、採用に生かすことなのです。そのためには、採用すべき多様な人財のモデリングができ、それに適合する人財を確実に発見できるアセスメントツールが必要だと考えました。それが「マルコポーロ」開発のきっかけです。
――採用時には「求める人財像」の設定が重要とよくいわれます。「マルコポーロ」ではそれが可能になる、ということでしょうか。
その通りです。私たちは、グローバル企業の人事部長経験者、心理統計学の専門家、HR分野での人事コンサルタントの方々などに呼びかけて「未来検査研究所」を立ち上げ、約7年間にわたり研究開発を行いました。100社以上の企業の協力を得て妥当性検証を行い、将来の「活躍可能性」を高精度に数値化して予測することが可能になりました。
「マルコポーロ」の最大の特色は、求める人財要件のモデリング機能が最初からビルトインされていることです。一般的に人財要件のモデリングは、現場インタビューなどを重ねて1~2ヵ月かかる大仕事です。また、優秀な社員をあげてもらっても、なぜ優秀なのかをうまく説明できない企業も数多くあります。「マルコポーロ」はそうした定性評価を定量化する分析を自動で行い、ハイパフォーマーがなぜハイパフォーマーなのかを言語化し、各社ごとの方程式をつくります。
同じ企業や部署でも、活躍するための「勝ちパターン」は複数ありますが、「マルコポーロ」を使えば、どの人財がどの勝ちパターンにあてはまっているかを高精度で予測できます。だからこそ「この人は即戦力になれる」「この人は将来マネージャー候補にまでステップアップできる」といったきめ細かい採用を実現できるわけです。2014年のリリースからすでに300社近い企業で導入されていますが、その大半が、採用だけでなく、配置、教育、抜擢などにも活用してくれており、非常に高い評価をいただいています。
回答操作性を最大限除去 ~ソーシャルデザイアビリティ対応
――人財要件のモデリングのために、既存社員にもアセスメントを受けてもらうことが必要なのでしょうか。
はい。「マルコポーロ」の個人向け質問は、選択式の全151問で、所要時間は約25分。既存社員の方にも、また採用選考時の候補者の方にも負担が少なくなるよう、配慮しています。並行して役員や管理職の方には、別途、人財要件モデリングをしていただきます。手法としてはアンケートのような質問に回答いただく方法や、ハイパフォーマーモデル分析などがありますが、いずれも所要時間30分程度です。その結果を「マルコポーロ」が分析し、その日のうちにモデリングが完了します。
その上で、「マルコポーロ」が示したモデルと実際の活躍人財がきちんと合致しているかどうかの検証を行います。もし違和感がある場合にはチューニングをかけ、納得感が得られるまでモデルを修正していきます。この分析・検証は、専門家が膝を交えて行うコンサルティングの部分です。このプロセスがあることで高い予測的妥当性、つまりアセスメントの精度が担保されているわけです。
――その他にも「マルコポーロ」の強み、特色をお教えください。
もうひとつの大きな特色は「回答操作性」を最大限除去したことです。従来の適性検査はこの問題にほとんど未対応でした。たとえば「一度落ち込むとなかなか回復しないほうだ」という質問に「はい」と答える受検者はまずいません。一般的な常識があれば、企業がそういう回答をどう評価するかがわかるからです。回答操作を除去することは非常に難しいのですが、クリアしなくては受検者の「深層(内面)」を正しく測定することは不可能です。「深層(内面)」を正しく測定できないままでは、求める人財要件をモデリングできていたとしても、正しく個々の活躍可能性を分析することはできません。7年間の開発でここにもっとも腐心しました。この対応のことをソーシャルデザイアビリティ対応といいます。
さまざまなトライアルの結果、「マルコポーロ」では、「5件法」に加えて、選択肢に「社会的望ましさ」の等しい回答を並べる質問法を追加採用しています。専門的には「等価法」といいますが、社会的望ましさが等しいために、自分の価値観でしか回答できない、つまり回答操作が不可能な質問法です。これらの「5件法」と「等価法」を独自の方法で組み合わせていますが、それでも回答操作が疑われる場合にはそのアラートを表示した上で、結果数値には「補正」がかかるようになっています。
採用だけでなく配置・抜擢・研修にも活用可能
――採用に課題感のある企業は、アセスメントツールをどう活用していくべきでしょうか。
ネガティブチェックを目的として適性検査をされる企業が、いまだに多いように感じます。また、早期離職しそうな人財をはじくために使っているケースも少なくありません。しかし、問題行動を起こさない社員が全員優秀ではありませんし、離職しない人が必ずしも活躍人財とは限りません。むしろ活躍しない人財を雇用し続けることの方が企業にとってはリスクでしょう。これからは、積極的に「採用後に活躍する人財」を発見するためにアセスメントツールを使っていくべきだと思います。
「幹部候補不足」もよくお聞きしますが、その原因も採用時にあると考えます。幹部になれる資質を採用時に確認できていないからです。例えば大きな変革をやり遂げるようなリーダーシップは、若年時に形成される「深層(内面)」で決まります。そして、これは簡単には変容しません。もともとその資質の少ない人財をいくら研修してもなかなか育たないのはこのためです。その意味でも採用時に「求める深層(内面)をどれほど有しているか」を正確に測定することが重要です。
――「マルコポーロ」を活用することで、多くの課題が解決できそうですね。
「マルコポーロ」は、企業それぞれにおける個々の活躍可能性を予測することを目的としたツールです。戦力になるかどうかだけでなく、採用10年後の活躍状況や将来幹部となれる資質を備えているかも見極めることができます。採用後の配置・抜擢・研修にも活用いただいています。
近年、上司と部下の関係性が大きな課題になっています。上司は自分の成功体験を絶対視しがちですが、若い社員はそうではない自分たちを理解してほしい、という気持ちを強く持っています。このミスマッチにうまく対処しないと、本来活躍する可能性が高い人財もやる気を失いかねません。「マルコポーロ」には人と人の相性を判断できる測定結果もあります。
現在、HRテクノロジーの分野ではAIが注目されていますが、AIのアルゴリズムは一種のブラックボックスであるため「なぜ?」を説明することが苦手です。マルコポーロはAIツールですが、加えて、人の判断、意図、思いを注入できるツールです。そしてデータを蓄積し、定期的に検証しチューニングすることが可能なシステムです。人事に生かすテクノロジーには、高い納得性が得られることも重要だと考えています。
企業データ
社名 | 株式会社レイル |
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本社所在地 | 〒162-0825 東京都新宿区神楽坂6-67神楽坂FNビル8階 |
事業内容 |
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設立 | 1998年8月 |
代表者名 | 代表取締役社長 須古勝志 |