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インタビュー
日本エス・エイチ・エル株式会社 取締役・清田茂氏、テスト開発・分析センター課長・小川友美氏に聞く

適性検査とは適材適所を実現するためのもの
正しい結果を得るには“求める人材像”を十分に練り上げておく

英国に本社を持ち、世界50ヵ国以上にネットワークを持つ世界最大級のアセスメント・サービス・プロバイダーであるSHLグループ。そのグループとライセンス契約を結び、日本の適性検査を語る際に外せないのが日本エス・エイチ・エル株式会社だ。検査の特徴は、アセスメントに先立つ人材要件の調査=コンピテンシーモデリング(職務適性定義)、そこで浮かび上がったコンピテンシーについての個々人の測定=サイコトリックテスト&ヒューマンアセスメント、それに基づく個々人の教育(フィードバック・カウンセリング)を一括して提供している点。知能や適性を判定する「総合適性テスト」を主力商品とするほか、特定の職種に寄った「職務適性テストシリーズ」などをリリース。2000年からはWebテストの開発に着手。2010年現在、ユーザー約2500社のうち、600社超がWebテストを利用している。

プロフィール

日本エス・エイチ・エル株式会社 取締役・清田茂氏

清田 茂(きよた しげる)

1993年日本エス・エイチ・エル株式会社に入社。適性テスト開発業務を担当。ヒューマンリソース・コンサルタントとして企業に対する人材分野(採用・配属・昇進昇格・教育)のコンサルテーションに従事。大手企業を中心にコンピテンシー構築、選考・選抜プロセスの設計および研修等を実施。2002年取締役に就任。現在は、直販営業の責任者として、顧客企業へ「人と仕事と組織の最適化支援」を進めている。

日本エス・エイチ・エル株式会社 テスト開発・分析センター課長・小川友美氏

小川 友美(おがわ ともみ)

2000年日本エス・エイチ・エル株式会社に入社。以来、適性テスト開発業務、ユーザー支援コンサルティング業務等を経験し、2005年10月より現職。現在は、新商品開発やテスト導入前後の検証等に従事する。


日本の新卒採用の場面にふさわしい適性検査とは?

---適性検査を提供する立場として、常に留意している点は何ですか?

日本エス・エイチ・エル株式会社 取締役・清田茂氏清田:適性検査の基本を意識することです。 “適材適所”という言葉がありますが、これを実現することが適性検査を行う大きな目的の一つ。そのため、検査結果を業務内容や職場環境に照らし合わせ、適性を見極めていく作業が必要になるのです。「適材」とは、組織の生産性を高めてくれる人です。そのため、SHLグループでは組織生産性に関わる“人の行動”に着目したテストを独自に開発しています。

---“人の行動”に着目したテストとは具体的には?

清田:当グループでは、企業が用いる適性検査は職務に関連したものであるべきと考えています。例えば、論理的に物事を理解できるか、物事を迅速に処理できるかといった、日常の業務で必要な性質を問う設問などが必要です。こうした設問によって構成されているのがOPQ(Occupational Personality Questionnaire)という適性検査。これは50ヵ国以上で導入されていますが、職務に直結した個人のパーソナリティーを測定することができます。

知的能力検査においても、職種によって求められる知的作業には違いがありますので、職務にあった知的能力を測定することが望まれます。日本の新卒採用場面では、職種採用ではなく総合職一括採用を行う企業が多いため、ジェネラリストを求める傾向にあります。それには、仕事をする上で共通に求められる言語理解能力(文章の論理的理解)や計数理解能力(表・グラフの論理的理解)の測定が有効だと考えています。人材のグローバル化が進む昨今、多言語で受験でき、各国の教育カリキュラムに影響を受けづらい知的能力検査の必要性は急激に高まってきました。

---貴グループの本社は英国にありますが、英国でどのように開発され、日本に導入されるのか、お聞かせください。

日本エス・エイチ・エル株式会社 テスト開発・分析センター課長・小川友美氏小川:英国では200名以上のサイコメトリック(計量心理学的人事測定)・プロフェッショナルが、過去の研究やフィールドリサーチなどを行い、独自の心理法則を発見してテストを開発しています。これらを日本に導入する際には、まず正しく翻訳することが重要です。そのため、新しくテストを提供する際には数百名以上の方にサンプルテストを受験していただき、因子分析。その結果、各因子の相関性が崩れていれば、翻訳を再検討する、データを再収集するなどして改良を重ねていきます。

日本向けの問題の作り方や能力の見抜き方についての研究も重ね、データを検証するなどもしています。以上をクリアして初めて、最終的なリリースとなります。

導入に当たっては“妥当性”について正しい理解を

---では次に、適性検査を使う際に理解しておくべきことは何でしょうか。

清田:適性検査は個人の基本的人権を尊重しつつ、個性を最大限に発見するものでなければなりません。仕事と性格との関係について具体的な検討のない中で、あるタイプの性格を不適応と見なすことは人格差別につながります。“適材適所”の考え方で適性検査を使用した場合、どの職業にも“不適”である人は存在しません。適性検査とは本来多様な個性をうまく仕事に適応させていくための道具なのです。まずはその前提をおさえて、適性検査を利用する必要があります。

次に、利用目的に適した適性検査を選び、正しく使うということです。“妥当性”という概念がありますが、これは利用目的に合っているかどうかということです。商品を提供する際には、ユーザーには各社の求める人材像や利用目的を聞き、妥当性を検証。さらに、どのように検査結果を読み取るかを丁寧に説明しています。妥当性検証の方法としては、現有社員に適性検査を受検していただき、測定された因子得点とパフォーマンスとの相関を調べるやり方が典型的です。

当然、これは“求める人材像”がしっかりとイメージできているかどうかに関わります。そのため当社では、適切な結果を出すために、適性検査を単発で行うのではなく、例えば入社3年後、5年後にその時点でのパフォーマンスと入社時の適性検査の結果との相関を調べ、「各社にとっての適性とは何か」を改めて検討してみることをおすすめしています。

実際、当社が検査結果と職務評価との相関分析を実施し、結果に基づいた選考方法の改善をお手伝いしたことで、業績改善や早期退職者減少を実現した事例が多くあります。

---「適性」について正しく認識したうえで検査を使用しないと、適切な結果が得られない。逆に正しく活用すれば、人的課題解決にもつながるわけですね。

清田:その通りです。最も重要なことは、企業が人材観をより洗練させ、妥当な人材要件を持つことです。日本の採用場面においては、企業も学生も、お互いが序列をつけて判断しているようです。つまり、一つの軸でしか物事を見ていないということ…。

しかし、企業が10社あれば、10種類の求める人材像があるはず。さらには、職種によっても人材像は違います。各社各様に、個人を、個性をうまく生かしていくためのツールとして適性検査を位置づけていただきたいと思います。

---適性検査導入に当たっては、“妥当性”についてしっかりと認識する必要があるのですね。本日はどうもありがとうございました。

日本エス・エイチ・エル株式会社 取締役・清田茂氏、テスト開発・分析センター課長・小川友美氏

企業データ

社名 日本エス・エイチ・エル株式会社
「ジャスダック上場(証券コード4327)」
本社所在地 東京都中野区中央5-38-16
事業内容 プロダクト(適性テスト)・コンサルティング・トレーニングサービスの提供
設立 1987年12月
代表者名 代表取締役 奈良 学

会社情報 サービス情報 導入事例

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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