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非認知能力
[ヒニンチノウリョク]

「非認知能力」とは、経済学や心理学で使われる言葉で、IQや学力テストなどの認知能力ではないもの全般をいいます。具体的には、誠実さや忍耐心、リーダーシップ、コミュニケーション能力など。その有無によって、仕事の成果や人生の行方に影響を与えるパーソナリティや対人能力ともいえます。研究によれば、労働市場における成果に対しては、試験や知能検査などで測定できる能力である認知能力だけではなく、非認知能力も影響を与えることが明らかになっています。

非認知能力のケーススタディ

詰め込み教育では磨かれない
厳しい場面の経験や集団など、豊かな経験により鍛えられる能力

「非認知能力」は主に幼児教育の分野で注目を集め、研究も多く行われています。2000年にノーベル経済学賞を受賞しているシカゴ大学のジェームズ・ヘックマン教授は、1970年代から低所得層のアフリカ系アメリカ人家庭の幼児を2グループに分けて、追跡調査を行っています。一つのグループは小学校に入る前に教育を行い、もう一方のグループには教育を行いませんでした。将来のIQへの影響度を測ることを目的に行われた実験でしたが、結果としてIQに差は見られませんでした。しかし、就学前に教育が行われたグループには「非認知能力」の向上が見られ、成人してからの犯罪率や離婚率、生活保護に頼る割合も低くなることがわかりました。

「非認知能力」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。その種類は、自己認識(自信、やり抜く力)、意欲、忍耐力、自制心、社会的適性、創造性、対処能力、性格的な特性といったもの。これらの能力は、勉強や試験といった試練を受ける中、集団での行動の中、失敗や挫折といった厳しい局面の中など、何かの対象や場面があって鍛えられるものが多く、学力といった一人で学べるものを含む認知能力とは、その成り立ちが大きく異なるといえます。

では、そのような「非認知能力」は、労働市場における成果にどのような影響を与えるのでしょうか。リクルートマネジメントソリューションズが提供する、慶応義塾大学准教授の中室牧子氏の記事によれば、このような研究は2000年代から見られ、日本でのデータを用いた研究では、大阪大学の大竹文雄教授らが、人の外向性や勤勉性が企業での収入や昇進に影響を与えることを実証。また、リクルートワークス研究所の戸田淳仁主任研究員らは、中・高校生のときに培われた勤勉性や協調性、リーダーシップなどが、その人の学歴、雇用、収入に影響することを明らかにしています。

「非認知能力」を鍛える経験は、幼児期や子ども時代に限ったことではありません。大人になってからでも十分に能力を鍛えることは可能です。これまで苦手してきたことをいかに仕組み化し、習慣としていくか。個々人での工夫が求められます。

企画・編集:『日本の人事部』編集部

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