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「適性検査」の種類

適性検査の四分類
~(1)能力適性 (2)性格適性 (3)興味・指向適性 (4)総合適性

そもそも適性検査とは、“人材の能力的側面”と“職務や学業などの要件”との関係性を測定・診断するものであるが、その目的・手段には多種多様なものがある。それらを大きく分類したものが以下である。

(1)能力適性検査
(2)性格適性検査
(3)興味・指向適性検査
(4)総合適性検査

ただし、(4)総合適性検査とは能力、性格、興味・指向を複合的・総合的に測定した検査のことで、(1)~(3)を併せたもののことである。人物についてより幅広く情報を収集できるという点では日本的人事にフィットしやすく、好んで使用される傾向がある。

では、次からは(1)~(3)について細かくみていこう。

知的能力や知覚、作業能力を測定する(1)「能力適性検査」

まず、能力適性検査であるが、これは知的能力や知覚、作業能力を測定するものである。大きくは一般知的能力検査と特殊能力検査に分けられ、前者の一般知的能力検査では語彙や文章理解能力、数的処理能力(計算能力)、論理的推理能力などを測定し、多くの職務に共通して必要とされる能力が診断できる。一方、特殊能力検査では知覚や細かい作業の速さや正確さが問われ、個別の職務、とはいえ、主には事務的・定型的職務に求められる知的能力を測定するものとなっている。

「能力適性検査」の4つの分類方法

イメージここでまた別の観点から、能力適性検査を4つの切り口で分類してみることにする。第一には測定内容による対比から「知識テスト・一般能力テスト」に分類する方法である。「知識テスト」とは知識や技術の蓄積量を測定するもので、採用選考における学科試験や教養試験などが挙げられよう。それに対し、「一般能力テスト」とは思考力や判断力を診断するもので、基本的な語彙や演算、論理的思考、推理、知覚の速さや正確さなどで測定される。これらは長年の学習経験で培われたものであり、新しい知識の学習・吸収能力、持てる知識の応用力が診断できるものである。特定の職務に紐づかず、多くの課題解決場面における基礎能力として一般的に発揮される能力だと考えられている。先述した一般知的能力検査がこれに当たるだろう。

第二に、設問形式による「A式(α式)・B式(β式)」という分類がある。A式が言語を使った設問であるのに対し、B式は図形や記号を使用。図形を用いた空間把握や近くの速さ、正確さが測定できるだけでなく、言葉や文化的背景に左右されないことも大きな特徴である。

第三には、設問・測定内容による「パワーテスト・スピードテスト」という分類である。パワーテストとは読解力や論理的思考力など、比較的高度で複雑な能力を測定するもので、一問当たりの検査時間が長く、課題をこなす力(パワー)が診断される。他方、スピードテストとは空間関係把握能力や知覚の速さ・正確さなど定型的な作業能力を測定するもので、比較的容易な問題だが、問題数が多いのが特徴である。冒頭に挙げた特殊能力検査もこのスピードテストに分類される。

第四は、回答形式による「客観式・記述式」という分類である。客観式が択一式の設問で事務的な採点、あるいはコンピュータ処理ができるのに対し、記述式は名前の通り“記述”するものであり、人間が採点することになる。そのため、採点者の主観が入ったり、同一採点者であっても時間軸で採点基準が変化したりする恐れがあるが、表現力・文章能力・拡散的思考能力の測定には効果を上げるものである。また、採点にかかる負荷を考えた場合、客観式に目がいきがちであるが、記述式では問題作成が容易なのに対し、客観式は実験データの収集や統計的分析が必要で時間がかかるといった側面もある。

このように、能力適性検査とはさまざまな観点から開発されているが、どの検査であっても“序列づけ”ではなく、“一定の水準を充足しているかどうか”を確認するツールとして使いたいものである。

日常の行動特徴や性向を測定する(2)「性格適性検査」

次に性格適性検査であるが、これは行動様式やものの見方・感じ方など、日常的によく見られる行動特徴や性向を把握するための検査である。基本的には人物特徴の理解、職務や職場との適合性や一般的な優秀性の評価などを目的として使われている。

では、種類にはどのようなものがあるかといえば、代表的なものに以下の3つが挙げられる。

(a)質問紙法
(b)投影(映)法
(c)作業検査法

「性格適性検査」の3手法

イメージ第一の質問紙法であるが、これは多数の短い設問に「はい」「いいえ」あるいは「A」「B」などで回答するものであり、多くの人に馴染みのある検査である。受検者の体調や気分などの状況要因に左右されにくいこと、実施環境条件などの外的要因による影響を受けにくいこと、実施が容易であること、結果の診断や解釈などが比較的容易であることなど、受検者にとっても検査実施者にとっても利点がある。また、質問には、精神病理を基本に情緒面の診断を行うもの、行動特性の記述に重点を置いたもの、ものの見方や価値観・興味に焦点を当てたものなどがあるため、目的に沿って選択をしたい。ただし、いずれの検査も、先述したように“結果の診断や解釈などが比較的容易である”ため、適性検査提供会社が「適」「不適」といった人事の決定に結び付きやすい判定を安易に提供する危険性があることは否めない。

また、回答をするのは受検者本人であるため、質問理解能力・内観能力・自己開示姿勢といった観点から測定結果の正確性には疑問が残るのも事実である。しかし、単純な質問紙法では受検者の意識、無意識の作為を排除できないため、回答に対する姿勢を測定する尺度の開発や、質問内容や表現、質問項目数を多くするなどの対応策が取られている。

第二の投影(映)法は、あいまいな刺激(問いかけ)に対してどのように反応(回答)するかを診断し、個人差から性格をとらえていくもので、よく知られたものにスイスの精神科医H.ロールシャッハが考案したロールシャッハ法がある。これはインクブロットのどの部分が何に見えるかを各被検者に問うもので、同時に、専門家による診断が求められるため、多数の応募者のなかから人材を絞り込んでいく人事の場面には適さないものである。また、「私の仕事は――」「私の好きな○○は――」など、主語を設問とし、15字~30時程度の短文を完成させる文章完成法(SCT)も投影(映)法の一手法である。ただしこちらも、結果に家庭環境の影響が出る可能性があり、受検者の心情を慮れば、人事場面にはそぐわないと考えられている。

最後の作業検査法であるが、これはドイツの精神医学者E.クレペリンが“連続的な単純作業量の変化のなかに個性”を発見したことによって生まれた検査法である。日本では心理学の草分け的存在だった内田勇三郎が“単純な一桁の連続的な加算”を課題した検査を開発し、クレペリン検査として広く使われることとなった。戦後は車や鉄道の乗務員などの採用において効果を上げ、事故率の抑制や作業の安全性の管理などにつながったものである。ただし、この検査法も第二の投影(映)法と同様、専門家による診断が必要とされる。

以上、人事場面における性格適性検査は、実施も結果診断も容易な質問紙法が普及していること、同じく質問紙法といってもユーザーの使用目的により多種多様な問題が選択できること、ただし、適性検査会社によっては安易な人事判断結果まで提供してしまう危険性があること、結果には受検者の意識、無意識による作為が入ることなどを理解したうえで、測定結果を単に適・不適で判定するのではなく、複数の尺度から総合的な人物理解を進めるという目的で使用すべきであると結論付けられる。

配置や能力開発などの場面で効果を発揮する(3)「興味・指向適性検査」

この性格適性検査で測定できる“性格”に隣接する概念に“興味”“指向”“動機”がある。人事アセスメントを語る上での“興味”とは、職業や職種に対する好き嫌いを意味する。“指向”とは“興味”と近い意味を持っているが、好き嫌いといった感情よりも価値観――職業選択、職務や職場の選択場面においてみられる職業観や選択の傾向を表す。最後の“動機”は、行動のメカニズムを説明する欲求や意欲のことを意味している。こうしたものを測定する適性検査=興味・指向適性検査はもともと職業ガイダンスなどのために開発され、その後、配置や能力開発、キャリア開発などの場面で活用される検査となった。しかし現在、人事用として使われる際には、単独で用いられることはまずなく、能力・性格などと合わせて総合的な人物理解のために使用されることが多い。

■適性検査の種類
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