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「適性検査」の目的別活用法<採用の用途>

採用において適性検査が持つ意味とは
「優秀な人材獲得」と「公正な就業機会の提供」

採用のための「適性検査」を語る前に、まずは「採用選考の目的」と「適性検査」の関係について考えてみよう。「採用選考の目的」とは、優れた人材を獲得するだけでなく、公正な就業機会を提供することであり、これらを達成するための支援ツールの一つが「適性検査」である。

では、適性検査の目的とは何かといえば、1)各応募者の基本的な特性を測定し、将来の職務行動を予見するだけでなく、2)短時間の中で効率的に人物理解を深めるためのデータを収集することである。ここで着目したいのは、公正な就業機会の提供を支援するための適性検査の在り方である。「公正」であるためには、選考において出身校・縁故・経歴と関係なく個人特性を測り、また、面接などの際の過度な緊張や表現力不足を考慮する必要がある。そのため、適性検査には蓄積されたデータとしっかりとした分析技術による“客観的”な結果が求められることは言うまでもないことだろう。

大量の応募者を、現実的に面接可能な人数に絞ることもできる
排除ではなく、一定の水準と特性を備えているかを確認

では、適性検査を目的別に細かく見ていくことにする。

まず、一つ目の目的としては一次選考における適性検査が挙げられる。これは求人に対し、人材が大量に応募してきた場合、面接が可能な範囲まで応募者を絞り込むためのものである。この際、認識しておくべきことは「適性検査は単なるスクリーニングの道具ではない」ということである。検査結果の精度は絶対的なものでなく、また、ある尺度からのみ人物を測ることを考えると、応募者を排除するのではなく、ある一定の水準と特性を備えていることを測るために使用されるべきである。これは「公正」に対する応募者の納得感にもつながっている点からも重要である。

また、この一次選考としての適性検査を行う際には、採用担当者が応募基準の趣旨や運用ルールを理解していること、次の選考ステップ(面接など)に残った応募者に対しては適性検査の結果で採否の判断をするのではなく、あくまで次の選考でより人物を深く理解するためのサポートツールとして、利用するべきものであることを再確認しておくとよいだろう。

面接においてより深く・総合的な人物理解を行う
主観が入る面接におけるエラーを防ぐのが目的

イメージ次に面接のための適性検査について考えてみることにする。これは面接では観察しにくい一面をとらえるために使用されるものであり、限られた時間内により深く、総合的な人物観察を行うためのものである。ただし、適性検査には測定精度と回答者の作為の問題が避けられないため、検査結果による安易な適・不適ではなく、実際に観察した結果の印象と検査結果を照らし合わせ、矛盾や異なる点を埋めていくという目的のために使用したい。

この際、面接における1)(※)ハロー効果・対比効果・一般化・ステレオタイプ・個人的好悪などの人物観察エラーの可能性、2)面接で観察できるのは「選考」という特殊な場における人物特性であり、日常の対人面における特性は類推判断しなければならないこと、3)面接者の態度や展開いかんで応募者の自己表現がうまく発揮できたり発揮できなかったりすること、4)面接では“対人場面”での能力特性を観察できるのであり、課題解決能力を観察することはできないことなども理解しておく必要がある。こうした面接の弱点を知っておけば、面接支援ツールとして適性検査を効果的に使うことができるだろう。

ただし、面接官全員に対し、適性検査の結果を共有するかどうかは、一考の余地がある。というのも、面接が有効に機能するには、1)面接官の人物感の豊かさ、2)適性検査の読み取り技術、3)面接技術が揃っている必要があるからだ。面接官に対し、事前に2)適性検査の読み取り技術、3)面接技術について十分なオリエンテーションが行われている場合には、適性検査結果を全員に共有することが有効である。というのも、各面接官が検査結果における疑問点を面接で確認し、総合的・多角的な判断のもと採否の審議ができるからである。

しかし、オリエンテーションが十分でない場合には、検査結果の読み取り技術を持つ人事担当者のみが結果を使用し、確認すべき点を質問、あるいは面接官には一切、結果を共有せず、審議段階にデータを持ち出すということも考えられる。ただしこの場合には、検査結果と面接で得られた印象の差を埋められない可能性があることを指摘しておく。

応募者・選考評価・内定者を集計・分析することで
改めて客観的に自社を知る

イメージ最後に挙げるのは、採用戦略や人事管理のための基礎データ・経営情報データとしての適性検査の活用である。では、具体的にどのように活用するかといえば、応募者、選考評価別、内定者ごとにデータを分析・集計するのである。

まず一つ目の応募者別の集計・分析が持つ意味とは、応募者=一般人が持つ企業イメージの分析や企業の将来性の評価につながる。選考評価別の集計・分析であれば、選抜された応募者のデータは即ち、企業自体の人材観を示しており、言い換えれば、求める人物像をデータ化したものだともいうことができる。内定者の集計・分析においては人事諸施策の検討の資料として使えるだけでなく、人的資産状況をデータとして把握することにつながり、経営情報としての意味も持つだろう。

また、適性検査の結果はその年度のデータとして機能するだけでなく、入社後、離職した人材や、業績を上げている人材などの視点から再分析していくことで、効率的で無駄のない採用基準を設定し直すこともできる。

このように適性検査の結果は選考の場合だけでも幅広く活用できるものであり、そのデータが持つ意味を、経営・人事担当者は十分に理解しておく必要があるだろう。

(※)
「ハロー効果」:後光効果・光背効果。評価の際、目立って優れた、あるいは劣った特徴がある場合、その特徴に影響されて全てが優れて見える、あるいは劣って見える現象。
「対比効果」:他の応募者あるいは面接官自身との対比で、特徴が際だって見える現象。
「一般化」:発見したある特徴がその他の側面にも当てはまって感じる現象。
「ステレオタイプ」:固定的・画一的に人物特徴をとらえやすい現象。
「個人的好悪」:面接者の好みや感情が人物評価に影響する現象。

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企画・編集:『日本の人事部』編集部

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