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「適性検査」の目的別活用法<採用以外の用途>

配属のための適性検査

イメージ公正な就業機会を提供し、優秀な人材を採用した後に求められるのは、適性を踏まえた配属である。入社者が新しい環境にスムーズに適応できるか否かは、本人にとっても受け入れる側にとっても重要な問題であり、この場面では配属された入社者を理解し、その特性にあわせた対応や指導を行うことが円滑な導入のキーとなる。そのためまず必要とされるのは、1)職務・職場の要件と、2)社員の個人差を明確にしておくことである。1)職務・職場の要件については別途、現場を熟知する人材にアンケート調査などを行い、分析しておくことが望ましいが、2)社員の個人差を明確にするという点では、応募書類やエントリーシート、面接の記録、研修期間中の観察・面談記録などに加え、採用選考で使用した適性検査の結果を資料とすることができる。適性検査の結果は配属部署の上司が入社者の特徴を理解する上で有用な情報となるからである。

ただし、検査結果をそのまま第三者である上司に開示することは、個人の内面に関するものだけに誤解を招いたり不要な先入観を持たせたりしてしまう危険性もあるため、自社の方針や職場風土を考慮しながら運用する必要がある。

また、採用選考時に用いた適性検査の結果について、配属など採用以外の場面で活用する場合にはもうひとつ重要な注意点がある。昨今では個人情報保護の観点から採用選考のために実施した適性検査の結果を配属などに用いる場合、個人情報の目的外利用に当たるとして問題になる可能性がある。そのため、入社後の人事データとして配属などにも検査結果を用いることを想定している場合には、あらかじめ選考において検査を実施する段階で、入社後の人事データとしても活用することについて、受検者の同意を得ておく必要があることに注意したい。

教育研修のための適性検査

適性検査は、自分の態度・行動様式を見直すための教育研修などでも効果を発揮する。検査結果を受検者本人にフィードバックすることで、自己理解・相互理解の役に立つ。また、教育担当者が検査結果を使用し、研修受講者一人ひとりの特徴をあらかじめつかんでおいたり、受講者の特性を考慮しながら対応の仕方を変えたりすることは教育研修の効果を高めるうえで極めて重要である。そのほか受講者をグルーピングする際の資料として使用することもできる。

また、カウンセリング・面談での利用も考えられるが、人物評価・本人の意向の確認・自己認識や自己啓発の支援を行うための資料として、適性検査を使用するのも効果的である。この場合もカウンセラーが検査結果を使用する場合と、本人に結果を提示して使用する場合の二通りが考えられる。

昇進・昇格のための適性検査

昇進・昇格の場合、その他のケースと事情が異なるのは、既に人事担当者は個人に関する情報を多く持っているということである。しかし、その情報量の多さにもかかわらず、実際にはバイアスがかかっていたり、利害関係を含んでいたりと、その客観性には不安が残る。その補完として活用できるのが適性検査である。これは客観的な情報としてバイアスを是正する効果が期待される。採用選考における適性検査が“直接的”で“選考”を目的とすることに対し、昇進・昇格における適性検査は、いわば“間接的”で“調整”であり、さらには “評価”と“育成”をも目的としたものだといえるだろう。

また、特に適性検査が効力を発揮するのは中間管理職への登用試験の場面であり、能力を測定する検査であれば、人事・本人双方の納得が得られるので好ましい。登用か否かについては、周囲からの評価が高く、検査結果も良ければ登用し、逆であれば滞留させるというのがシンプルな考え方である。しかし、適性検査は単に登用決定の一ツールとしてだけでなく、能力は持っているが周囲からの評価が芳しくない人材、評価が良いにもかかわらず検査結果が十分でないという人材を表出させることで、そのような人材の課題を発見し、解決させるための契機にもなりうるのだ。と同時に、“埋もれた人材の発見”や“偏りがちな周囲からの評価の是正”が副次的な効果として得られる。

適性検査は人的資産活用のための鍵である

イメージ以上に挙げたケース以外にも検査の結果を用いて集団の特徴を統計的に分析することにより、有用な経営情報を得ることができる。具体的には、適性検査のデータをさまざまなグループごとに集計し、その平均や標準偏差(データのばらつき)をみることで集団としての特徴を把握したり、グループ同士を比較してその傾向の違いを明確にする方法である。

ハイパフォーマーの分析や応募者と内定者、定着者と離職者など集団ごとのデータを比較することで、ねらい通りの採用選考が行われているか否かを検証することができる。人事担当者が、決して安直に結果を求めることなく、しっかりとしたポリシーを持ち、適性検査に対する正しい理解を深めることで、人的資産の有効活用につなげられることを再認識しておきたい。

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企画・編集:『日本の人事部』編集部

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