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「アセスメント」とは

アセスメントとは、事前に予測し、評価・検討すること

イメージ「アセスメント」とは“査定”や“事前影響評価”などのことで、人事だけでなく、様々な場面で使われる言葉である。例えば、「環境アセスメント」という言葉は、開発が環境に及ぼす影響の内容・程度に加え、環境保全対策について事前予測と評価を行い、検討することを意味している。つまり、この言葉の意味の根幹にあるのは“事前に予測し、評価・検討する”ということ。

その概念を人事場面に持ってきた場合、「人事アセスメント」とは、“人材の特性を事前に予測し、評価・検討すること”だといえる。実際には、人事アセスメントとは能力や性格などの適性を測定し、把握することを示す用語であり、具体的には、科学的アプローチによって個人差の情報を集め、統計解析をかけ、人材の特性を明らかにし、評価することである。

急速な経営環境の変化と個人主義の進行から
求められたのが「人事アセスメント」という考え方

イメージでは、この「人事アセスメント」=人事において事前予測・評価をしようという考え方はどのようにして生まれたのだろうか。それは1900年代の西洋――市場や技術革新、経営環境が目まぐるしく変化する時代において、“機械的に”個人=人材を、経営戦略にそって従わせる経営方針が難しくなったからである。組織が生き抜くためには、現場で活躍する個人が課題を発見し、それを解決することによって組織が運営する形が求められた――つまり、“自律した”“多様な”人材による多様な能力が求められたのである。

また、それと時を同じくして、時代とともに個人主義が進み、個人がより自分の満足度や成長感・やりがいを求めて働くようになったのも大きな要因である。このような背景から、“組織による個人の突き放し”だけでなく“個人の組織離れ”が進み、より一層、人材の個人差を測定し、評価し、人材を採用する必要が出てきたのだ。

「人事アセスメント」という言葉を聞けば、比較的新しい考え方のように思われるかもしれないが、実は100年以上も前からあった概念であり、日本では戦後の高度成長期を経て定着していくことになった。

主観だけではなく、客観も。科学的アプローチによって
発見された普遍的法則を持つ実践科学

しかし、個人差を測定し、評価するとひと言で言っても事は簡単には済まない。それまでの採用場面においては、経営陣や人事の“主観のみ”によって採否が決定されることが多かったからである。

主観的な人物把握とは、たとえば面接や職務行動場面を観察することで得られる人物イメージであるが、言動に表れにくい根源的な資質特性が見落とされる可能性があり、ときに意識的、ないし無意識的に判断が偏る可能性が否定できない。さらに、それによって応募者の納得が得られにくい場合があった。

そこで、組織・個人ともに納得のいく評価の仕組みが必要となり、それが人事アセスメントとして確立することになったのである。測定・評価するには共通の尺度が必要である。人事アセスメントとは、科学的アプローチによって発見された普遍的な法則を持つものであり、客観性・納得性・公正性のある実践科学なのである。それは決して人による全人格的な人間理解に取って代わり得るものではないが、主観的な意志決定を効果的に支援できるところに大きな意味があろう。

■参考文献

  • 二村英幸『人事のテストロジー――適性テストの理論と実際――』(朝日出版社・1992年)
  • 二村英幸『人事アセスメント入門』(日本経済新聞社・2001年)
  • 二村英幸『人事アセスメント論――個と組織を生かす心理学の知恵――』(ミネルヴァ書房・2005年)
  • ※本ページ「アセスメント」とは~「『適性検査』使用時の注意点」までの記事全てで上記文献を参考にしています。

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企画・編集:『日本の人事部』編集部

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