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「適性」とは

単なる職務・職場との適合性だけでなく、
職務要件獲得のための人材の可能性・将来性まで予見するのが「適性」

イメージ「アセスメントとは」の項で説明したように、人事アセスメントで測定するものとして、人材の「適性」がある。ここでは、「適性」とは何か考えてみたい。

「適性」といえば、単に“人物特性と職務・職場の特性・特質がマッチしているか、適合しているか”を示すように思われるが、実は“職務要件を獲得するための可能性や将来性を持ち合わせているか”を示すものである。つまり、将来に対する予測・予見までを意味する概念であり、平たく言えば、職務をスムーズに遂行するために必要な知識や技術をどれだけ速く身に付けられるのかを測るものともいうことができるだろう。

この概念が生まれたのは1900年代初頭、西欧においてである。ただし、当時の「適性」とは人材の個人差を能力的な側面から科学的なアプローチによって研究したもので、機械“作業”能力などを示すものだった。しかしその後、産業革命が起こり、機械の“操作”能力――視覚の速さ、手先の器用さ、身体・運動能力などがいかに機械操作に適合性しているか――が問われるようになり、徐々に適性を考える範囲が拡大されるようになっていった。

また、アメリカの事情も例に挙げれば、「適性」とは当初、企業人能力――Knowledge(知識)・Skills(技能)・Abilities(能力)を示す語として考えられていたが、1990年代に入り、Other characteristics(性格・価値意識・その他の個人差)が加えられることになった。このように、多くの国では時代の移り変わりと共に「能力」的な適性に「性格」的な適性が加えられることで、現在の「適性」の概念が成立したといえる。

ただし日本の場合、もともと“人材を組織の一員”として全人格的に捉える特徴があったため、「能力」的観点と「性格」的観点というように別々に考えるのではなく、このふたつを併せて「適性」を考える土壌があった。

能力・性格・態度が「適性」の3大要素

さて、この「適性」をさらに細かく分類してみると、次の3つに分けられる。

  1. 1) 能力的側面(職務適応)…職務遂行に必要な知識・技術獲得のための基礎的な能力
  2. 2) 性格的側面(職場適応)…職務や職場風土に適応できるかどうかの情緒的・性格的特性
  3. 3) 態度的側面(自己適応)…経営理念・事業内容やマネジメント方針に適応するための
      そもそもの動機や興味・職業観・価値観など

つまり、適性を語るには、この3要素を踏まえて総合的に判断する必要があるといえる。ただし、3)態度的側面(自己適応)については個人の満足度とも深くつながっているため、採用その他の場面において「適性」を測るために行われる「適性検査」の結果は、判断するための一つのツールであり、絶対的なものではないことを知っておく必要がある。

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企画・編集:『日本の人事部』編集部

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